TIPS/テクニック
阿部学のHelixトーク 第12回
『内蔵キャビネットモデリングとサードパーティー製IR』
今回はHelixに最初から内蔵されているキャビネットモデリング(ハイブリッド・キャビネット)とサードパーティー製のインパルス・レスポンス(以下 IR)の違いや使い方などについて語ろうと思います。
※インパルス・レスポンスの詳しい解説についてはこちら。
Helixに最適化された内蔵のキャビネットモデリングは、『ハイブリッド・キャビネット』と呼ばれており、2048ポイント相当の解像度のインパルス・レスポンスをより少ないDSP消費で実現するだけでなく、マイクの種類や位置の細かい選択が可能です。
一方、サードパーティー製IRは個人の方が制作している物、会社で制作している物と色々あります。
そして様々な環境のデータがあります。
特定の場所(音響環境)、特定のスピーカー、特定のマイク等々。
ですので、これをロードすることで多様なサウンドバリエーションを得ることができます。
今回取り上げるのは、先日のファームウェア・バージョンアップ時にLine 6から無償提供が開始された、Helix等で使用できるインパルス・レスポンスのパック『Allure Pack IRs』です。
これを使って内蔵キャビネットモデリングとの比較、使い方の一例を紹介したいと思います。
まずは歪み。
アンプモデリングはBrit2240(マーシャル JCM800)。
まずはHelix内蔵キャビネットモデリングの4×12 Greenback20(4×12 Marshall Basketweave G12 M20)、マイクは121 Ribbon(Royer R-121)。
そしてAllure Pack IRs (Allure_67_Brit_Greenback)。
そしてクリーン。
アンプモデリングはUS Deluxe Nrm(Fender Deluxe Reverb)。
まずはHelix内蔵キャビネットモデリングの1×12 US Deluxe(1×12 Fender Deluxe Oxford)、マイクは160 Ribbon(Beyer dynamic M160)
そしてAllure Pack IRs (Allure_64_USDeluxe_P12N)。
いかがでしょうか。
これはどちらが似ているというような優劣を付けるものではありません。
使用する方の好みであり、制作者のデータの録り方です。
サードパーティー製のIRは様々なデータがあります。
特定のスピーカーキャビネット・マイクの組み合わせだけでも、角度や距離を変えたり、スピーカーの裏にマイキングした物など様々です。
これをどう使用するかはユーザー次第。
では、今度は先ほどの内蔵キャビネットモデリングとAllure Pack IRs を混ぜて音を作ってみましょう。
Helixだとこんな事も簡単に出来てしまいます。
同じパス上に2つとも置いてシグナルをスプリットします。
まずは歪み。
次はクリーン。
こうすると単体で使用するのとまた違った感じになりますよね?
ちなみに両方ともこの時点ではちょうど50/50の混ざり具合です。
これでも充分かもしれませんが、やはり自分の好みにセッティングしたいものです。
その場合はシグナルが戻った所にあるMerge Mixerで、各シグナルのバランスを変えると良いと思います。
この方法はIRだけでなく、内蔵キャビネットモデリング&マイクモデリングを2つ並べて組み合わせても面白いです。
異なるキャラクターのキャビネットを組み合わせるも良し、同じキャビネットをマイク違いで混ぜるも良し。
実機では大がかりになって出来ないような事も、Helixでは簡単に出来てしまうのです。
またIRも今回紹介した『Allure Pack IRs』は勿論、本当に色々な物がインターネット上にありますので、探してみると良いと思います。
海外の某ギタリストは、特定のマイキングのIRをエレクトリックアコースティックギターに使ってるなんて話も聞きます。
今までのプロセッサーの多くは、内蔵されているモデリングだけで音作りをしなければいけませんでしたが、Helixではサードパーティー製のIRも取り込めるようになったので、音作りの幅が物凄く広がったと思います。
皆さんも是非とも試してみてください。
★阿部学主宰Helix ユーザーグループ(Facebook)への参加:
https://www.facebook.com/groups/910662599034878/
著者プロフィール: 阿部 学 (あべ まなぶ)
13才でギターを始め、バンド活動。
その後は六本木ピットイン等でのセッション活動や楽器メーカーのインストラクターを経て、女性ユニットZweiのサポートギタリスト、 ディズニーリゾートでのショー出演、セッション活動、ゲームミュージックのレコーディング活動等、精力的に活動。
最近ではLine 6のデモ演奏・セミナー、岩佐美咲(元AKB48)のサポートギタリスト、渡辺美奈代のアニバーサリーライブでのギター参加、他にギターレッスンにも力を入れている。
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