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Helix

IRって一体何?

2016.03.01

音楽業界は、新しいもの既存のものを問わず、次々に技術を表す新しい専門用語や頭字語を創り出すのが大好きですが、それらのフレーズ全てに常に精通するのは容易い事ではないと思う人も多いでしょう。ギタリスト達がようやく“DAW”という言葉の意味を理解した頃には、もう別の新しい用語が登場しています。そうなるとまた、ネットでその意味を検索したり、周りの子供に尋ねたりする訳です。

比較的新しい技術用語であるインパルス・レスポンスまたは“IR”は、最近の音楽機材関連の記事で頻繁に目にします。またインパルス・レスポンスは、音楽技術の発展においても大きく貢献していると言えます。実際IRはギタリスト向けのソフトウエアやテクノロジーの中で多く用いられていますから、私たちもIRとは何か知っておきましょう。

簡単に言うと、インパルス・レスポンスとは、機材、音響環境、再生システムそれぞれが持つ音の特性を記録したオーディオファイルです。当初IRは、リバーブのプロセッサー内の独特な音響状態を再現するために使われました。その後シドニーのオペラハウスなど、スケールの大きな空間を再現したものなど様々なタイプがスタジオ用リバーブとして登場し、プロフェッショナルなミキシングの世界を様変わりさせました。

オーディオファイルそのものは、大きな教会のインパルス・レスポンスの場合、その空間の中の残響特性と同様に、オーディオを録音するために使用した機器や建築材に左右される音のキャラクターをキャプチャーしていると言えます。マイキングされた4×12のスピーカー・キャビネットのIRならば、スピーカー及びスピーカーエンクロージャー、オーディオの録音に使用したマイクとマイク・プリアンプ、キャビネットを駆動させるために使用したパワーアンプのスピーカーケーブルの音をキャプチャーしている、という事になります。

このような環境条件には、インパルス・レスポンスに、はっきり違いが認識できる程の影響を与える変動要素が多数含まれているという点にご注意ください。例えばその教会の床が石ではなく一面カーペットが敷かれていると、そこに吸収される事で、リバーブの残響時間は特定の周波数においてかなり短くなります。そして残響音は、大きな石材の部屋では残響がクリアで残響時間も長いのに対し、こもったトーンになります。

音がキャプチャーされるとコンボリューションのプロセッシング・エンジンが短いインパルス・レスポンスのファイルを生成し、そのデータを4×12スピーカー・キャビネットや大きな教会での残響として再現するのです。その段階で、IRはエフェクト機器に含まれるプリセットのような役割を果たし、そこで処理されるどんなオーディオにも、インパルス・ファイルのサウンドを付加することができます。

インパルス・レスポンスは非常に短く、通常目にするのは大抵1024か2048です。これはオーディオファイルをキャプチャーする際のサンプリング周波数と関係があり、数字が大きくなればなるほど長い時間キャプチャーしたことを意味します。(CDの場合は、1秒間に44,100個のオーディオのサンプルを使用しますので、インパルス・レスポンスのファイルがいかに短いかわかります)

とにかくこの基本を覚えていてください:キャプチャーする時間が長ければ長いほど、再現精度もアップします。

ここで疑問になるのは、この難解な技術がギタリストにとってどんな意味を持つのか、という事です。それは、現在私たちがモデリング機器内で使用するスピーカー・キャビネットで、シンプルなフィルターやレゾナンス(スピーカーを模倣する昔の方法)を使う場合は不可能だったリアルな再現ができるようになる可能性を意味します。また、自作のインパルス・レスポンスをロードできる機器を所有している場合は、手持ちのスピーカー・キャビネットとマイクのサウンドをキャプチャーできる無償ツールがいくつか存在しており、それらを活用することができます。

本題に移りますと、Helixはインパルス・レスポンスをロードし、プリセットとして保存可能で、プレーヤーに全く新しいスピーカー・キャビネットのカスタマイズ方法を提供します。実験的なことを色々試してみたいが、自分自身でレスポンスをキャプチャーするのはちょっと…という場合は、優れたサウンドのスピーカー・インパルスが数多く販売されていますのでお試しください。(ご参考までに、Red Wirez、Ownhammerの2社が人気のようです)

これまでユーザーによるカスタマイズについて述べてきましたが、機器にあらかじめロードされているもので、特にIRと称されていないからと言って、インパルス・レスポンスのデータが使用されていないとは必ずしも言えません。例えば、いくつかのモデリング機器(例えばHelix、Fractal Axe FX、ヤマハTHR HEADなど)は、IRを使用して搭載するスピーカー・キャビネットを再現しています。Helixのようにサードパーティ製のインパルス・レスポンスをロードするオプションが用意されていても、リアルさを追求するために必ずしもそれを使用しなければならない、ということではないのです。

最後に、IRの処理はDSPへの負荷が非常に大きいことも忘れないでください。ですので、通常はDSP処理能力が高い機器での使用に限られます。その点、Helixは同時に複数のスピーカー・エミュレーションを使用しても快適に動作するよう設計されています。HDスピーカー・インパルスと同様の高い分解能を、より低いDSP占有率で実現する技術を独自開発し、“ハイブリッド・キャビネット”と名付けました。“ハイブリッド・キャビネット”について更に詳しく知りたい方は、それについてのブログ記事をお読みください: http://line6.jp/helix/blog.html

インパルス・レスポンスにより、タイムドメイン特性と音響空間をリアルに再現することが可能になり、音楽の世界の技術は大きく前進しました。Helixには様々なスピーカー・キャビネット、複数の異なるポジション設定が可能なマイクが搭載され、ご自身でロードして実験する事のできるバラエティ豊かなIRが多数用意されています。正確に再現されたスピーカー・キャビネットやマイクを、正規販売店で実際に聞いて感じてみてください。製品詳細は、http://line6.jp/helix/でもご確認いただけます。

このブログ記事でご紹介したインパルス・レスポンスについてより理解を深めたい方は、AppleがLogic Audioを例に分かりやすく解説した記事(英文)がありますので、そちらもご参照ください:

https://manuals.info.apple.com/MANUALS/1000/MA1655/en_US/impulse_response_utility.pdf

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