Helix
Helixのハイブリッド・キャビネット
どんなデジタル機器においても、実行するのにとてつもない処理能力が必要だったり、とても効率的とは呼べない機能がいくつかあるものです。毎日使うもの、例えばパソコンやスマートフォンでEメールを書くことは、素早く実行でき反応も速いと感じるでしょう。なぜならテキストを生成する事がプロセッサーにとって非常に簡単だからです。しかしフルHDムービーを観るとなると話は別で、ビデオ再生にはより多くのDSP処理が必要となります。
デジタル・オーディオの世界では、ディレイ、リバーブなどタイムベースのエフェクトは最もDSP負荷がかかる処理であり、アンプやスピーカー・キャビネットはその代表と言えるでしょう。
処理の重さに関して言うと、一般的にインパルス・レスポンスを使ったスピーカー・キャビネットのエミュレーション(Helixで行えるような)は、DSP処理に多くの負荷がかかります。それはこれらのインパルス・レスポンスが、マイクで収録したスピーカー・キャビネットからキャプチャしたデータを含む、実際の短いオーディオ録音であるためです。レコーディングされたデータの質の高さと長さに比例し、スピーカーのエミュレーション・クオリティもより正確かつ詳細になりますが、この質の高さがDSP処理に大きく影響するのです。
内蔵のスピーカー・キャビネット・モデル一式に加え、Helixはサードパーティ製の高品質なインパルス・レスポンスをロードすることも可能です。これは素晴らしい機能ですが、Helixにはじめから搭載されているスピーカー・キャビネットは、従来の静的なサードパーティ製のインパルス以上の魅力を持っていることもお忘れなく。
私たちはHelixのスピーカー・エミュレーションを「ハイブリッド・キャビネット」と呼んでいます。なぜならそれは、2048ポイントのインパルス・レスポンスに一般的に見られるのと同じ周波数やダイナミックの精度を再現するために多くの独自アルゴリズムを採用している一方で、DSP処理の負荷の大幅な軽減も実現しているからです。
それだけでなく、ハイブリッド・キャビネットは、実際にスピーカー・グリルから0.5インチ(1.27cm)刻みで、最高12インチ(約30.5cm)まで離すことが可能で、この状態でどのポジションからでも、マイクの近接効果や低音のブーストを正確にキャプチャすることができます。
ハイブリッド・キャビネットで性能がアップしたことで、Helixでは、最大4つのスピーカーを、それぞれに種類の異なるマイクを別のポジションに設置した状態でも、動作させることができます(DSP処理能力による)。
ここでの重要な結論としては、Helixはサードパーティー製のインパルスレスポンスをロードする機能は持っていますが、最高の音を求めた時、必ずしもそれを使う必要はないという事です。HXキャビネットは、リアルなスピーカーやマイクの特性をより縦横無尽に、かつ軽いDSP負荷で再現し、エフェクトを処理するためのより多くのヘッドルームが確保されるのです。
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