DL4 MkII Tips

第7回 feat.西田修大 - 1スイッチ・ルーパーとクラシック・ルーパーを行き来する

DL4 MkIIは、DL4譲りのクラシック・ルーパーと、新たに開発された1スイッチ・ルーパーの2つのルーパーを搭載しています。これらは、用途に合わせて使い分けることができるのはもちろん、ひと工夫することで両ルーパーを行き来することもできます。ここではギタリストの西田修大氏による活用法を通して、2つのルーパーを行き来することで可能となる新しい音楽表現を紹介します。



ディレイを併用できる1スイッチ・ルーパー
操作性に優れるクラシック・ルーパー

初代DL4はディレイはもちろん、ルーパーとしても名機として知られ、数々の素晴らしいループ・プレイを生み出してきました。直感的に使える素晴らしいルーパーですが、「これができたらもっといいのに!」と思っていたことがあります。それは、ルーパー・モードにするとディレイが使えなかった点です。

DL4 MkIIには新たに1スイッチ・ルーパーが搭載され、同ルーパーを使っている間はディレイを使えるようになりました。それに加えてDL4譲りの操作性に優れたクラシック・ルーパーも搭載しているため、用途に合わせて好みのルーパーを選んで、より自由な演奏を楽しむことができるようになりました。

さらに外部スイッチ(別売)を使えば、1スイッチ・ルーパーとクラシック・ルーパーを行き来することができます。それによって、例えば次のようなことが可能になりました。

  1. 好みのディレイをかけた演奏を、1スイッチ・ルーパーでループさせる。
  2. そのループを流したまま外部スイッチでクラシック・ルーパーに切り替え、リバースさせたり、ハーフ・スピードにするなど直感的に操作する。
  3. クラシック・ルーパーで加工したループを流したまま、再度1スイッチ・ルーパーに切り替え、好きなディレイ・モデルを使ってループをさらに加工する。

動画では、ディレイとリバーブでフワッとさせた音を、1スイッチ・ルーパーを使ってループ、その音にPITCH ECHOでオクターブを重ねて、それからGLITCHによるリード・プレイを演奏しています。これだけでもかなりいろいろなことができていますよね。自分の場合は、ここまでの音を録りためてから、外部スイッチでループをオンしてクラシック・ループのモードに入ります。それをハーフ・スピードにしたり、リバースにしたり……クラシック・ループでしかできない演奏をしています。皆さんもぜひ楽しみながらチェックしてみてください。


左のセレクター・ノブをLOOPERに合わせて、クラシック・ルーパーを選択(この時、ALT /LEGACYボタンは点灯しない)。写真には写っていないが、外部フットスイッチを使って1スイッチ・ルーパーと切り替える。

さまざまな場面で使える複雑なテクスチャーを一台で実現

ルーパーによる「サウンド・オン・サウンド」は、どのような時に使うと良いと思いますか? ソロ・パフォーマンスや練習には良いのですが、使える場面って意外と限定的かもしれませんよね。

今回のように2つのルーパー・モードを行き来することで得られるテクスチャーは非常に複雑で、そのためキーやテンポにあまり縛られず、さまざまな場面で使うことができます。僕の場合は、ライブのオープニングで弾いてほしいというオーダーや、シンガーが着替える間の繋ぎで演奏してほしいと言われる場合があり、そういった時に使っています。他にも何らかの形で空間を演出したい、でも記名性の少ない演奏がしたいという場面は意外とありますし、単純に楽しいのでこれを使っている間に1曲出来るということもしばしばあります。

今回の動画のように2つのルーパーを行き来することで、これまでにないプロセッシングが可能になりました。これを1台で可能にしたところがDL4 MkIIのすごいところだと思います。皆さんも、このすごさ、面白さをぜひ味わってみてください!



西田修大

西田修大(にしだ しゅうた)
プロフィール

1988年生まれ、広島県出身。君島大空 合奏形態、Songbook Trio、KID FRESINO、中村佳穂、石崎ひゅーい、UA、アイナ・ジ・エンド、絢香といったさまざまなアーティストのライブやレコーディングで活躍。現在の邦楽シーンを支える重要なギタリストの一人として注目を集めている。

◎Twitter: https://twitter.com/nsd_st
◎Instagram:https://www.instagram.com/shuta_nishida/

取材・文:井戸沼尚也
写真:星野俊
動画撮影・編集:熊谷和樹
録音:嵩井翔平


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