POD HD

POD HDマルチエフェクト・プロセッサーのエフェクト解説: Tube EchoとTape Echo

By Line6Miller

今回もPOD HDマルチエフェクト・プロセッサーに搭載されるエフェクトの詳細を紹介するブログをお読み頂き、ありがとうございます。このシリーズの前回のブログをお読み頂いた方は、POD HDシリーズに搭載されているAnalog Echoモデルについてと、その役立つ活用法を学んだことと思います。今回はPOD HDシリーズのマルチエフェクト・プロセッサーのTube EchoとTape Echoモデルについて詳しく見ていきましょう。

Maestro® EP-1は、非常に多くの人が、常に最もお気に入りのディレイ・ディバイスだと考えています。チェット・アトキンスやレス・ポール、ジミー・ペイジ、ジョー・ウォルシュなど、無数のギタリストがこのディレイを使用してきました。

最初のEchoplex EP-1は1950年代に、オハイオ州クリーブランドにあるMarket Electronics社によって制作されました。これを発明したのは、2008年に亡くなったマイク・バトルというエンジニアですが、このディバイスはシカゴのHarris-Tellerという会社が製造して、初めて知られるようになりました。そしてMaestroというブランド名でマーケティングされると、Echoplexは過去最高の素晴らしいディレイ・エフェクトだと考えられるようになったのです。

最初のMaestro® Echoplex EP-1及びEP-2ディバイスは真空管デザインでしたが、その直後にトランジスタ版のEP-3が続きます。Line 6のTape EchoエフェクトはEchoplex EP-3、Tube EchoはEP-1からモデリング*されています。

Echoplexはエフェクト・ペダルではなく、ループになったテープを様々なスピードで走らせ、ヘッドでレコーディングするディバイスで、これは先日紹介した ディレイの歴史 ブログの内容に似たものです。Tube Echo、Tape Echoの両モデルは、どちらもウォームで好ましい、少しオーバードライブしたディレイ・サウンドになっています。優れたスラップバック・ディレイはどちらのモデルでも簡単に作ることができ、またTube EchoのWow/Flutterパラメーターを高くすると、非常に楽しい効果が得られます。

Maestro® EP-1には4種類のパラメーターが用意されています:

- Instrument/Mic Volume (Mix)**
- Echo Repeats (Feedback)
- Echo Volume (Mix)**
- Delay Time Slider  (Time)

**POD MIXセッティングはInstrument/Mic VolumeとEcho Volumeパラメーターを組み合わせたものです。これはEchoplex EP-2モデル内と同様です。

Maestro® EP-3には以下の3つのメイン・パラメーターが用意されています:

- Echo Volume (Mix)
- Echo Sustain (Feedback)
- Echo Delay (Time)

これら2種類の素晴らしいエフェクトのLine 6バージョンは、それぞれのオリジナルにインスパイア*されたものである、ということが重要です。つまり、OD HDマルチエフェクト・プロセッサーに収められているAnalog Echoが実物のBoss® DM-2ディレイ・ペダルより多くのパラメーターを調整できるようになっているのと同様、Tube EchoとTape Echoも、パラメーターの対応力が強化されています。

また、Line 6はこれらのディレイ・モデルのエフェクト・バリエーションも用意しています。つまり、Tube EchoとTape Echoには“Studio”(Dry Thru) 版があります。それぞれのモデルはオリジナルのTube Echo及びTape Echoディレイ・モデルと全く同じですが、ひとつだけ違いがあり、これらクラシックなディレイのドライ・スルー・シグナル・パスをモデリングしています。それによりオリジナルのTube EchoやTape Echoモデルで、Mixパラメーターを0%に設定した際にオーディオ信号に追加されるトーンのキャラクターや色付けを取り除く能力が提供されるのです。とても便利な機能ですね!

このTube Echo、Tape Echoエフェクトを使って、幾つかのトーンを作成してみました。私のこれまでのトーンは全て、以下よりダウンロードできます: Line6MillersTones

TapeEchoLuv

このトーンでは、レッド・ツェッペリンの「Whole Lotta Love (胸いっぱいの愛を)」におけるクラシックなジミー・ペイジ・サウンドにどれだけ近付けられるかをチェックしてみました。メインのリフをご存じなら、ぜひ演奏して、その感想を教えてください。私はデュアル・ハムバッカーのギターを使い、リア・ポジションでこのトーンをセッティングしました。ギターは、ダイレクトにPOD HD500マルチエフェクト・プロセッサーへ入力し、出力モードはStudio Directへ設定しています。デュアル・トーンを使い、POD内のミキサー・ブロックで左右は50%にパンしました。PODでは、Supro® S6616をベース*としたSuper Oアンプ・モデルを使用。ジミー・ペイジは、アルバム『レッド・ツェッペリンI』、『レッド・ツェッペリンII』を制作したスタジオではSuproを使用していたと語りましたが、どちらのエコーを使用したかは語っていません。でも、この小さなアンプのサウンドは非常に近いと思います。ジミーがライブでEP-3を多用していたのは有名であり、私はTape Echoモデルを使用しました。Timeは160ms、フィードバック は20%、Bass 48%、Treble 50%、Mixは20%に設定されています。

TubeEchoLuv

これはTapeEchoLuvとほぼ同じトーンですが、Amp 2のドライブ・パラメーターをわずかに変更して11%としてあり、Tape Echoモデルの代わりにTube Echoディレイが使われています。Tube Echoには、テープがリールに巻き付くことにより生まれるアナログ・テープ独特のフラッター、つまり周波数の揺れを表現するWow/Flutterパラメーターが追加されています。これはクールですね! また、Driveパラメーターを上げると、よりトーンの食い付きが良くなります。タイムは160ms、Feedbackは20%、Wow/Flutterは25%, ドライブは10%、ミックスは20%に設定されています。

TubeEchoSlap

前回のブログでもスラップ・バック・ディレイ・タイプのトーンを作りましたが、Tube Echoモデルは、それにぴったりのディレイです。チェット・アトキンス、レス・ポールのトーンは、このスラップ・バック・サウンドと同義語です。ここではBlackface Dbl Nrmアンプ・モデルを使い、Driveパラメーターは0にまで下げています。アンプのEQは少し調整していますが、ほぼそのままにしました。ディレイのTimeは非常に低い100msに、Feedbackは25%、Wow/FLTは30%に設定、Driveは0%、Mixは35%にセットしています。

MakeItRain

さあ、もう伝統的な使い方は十分でしょう。Tube Echoモデルを、ちょっとエンジョイしてみましょう。このトーンは、ちょっと風変わりなものを目指しました。多くの人が常に使うようなサウンドではないかもしれませんが、楽曲のちょっとした部分、例えばイントロなどには優れたエフェクトとして使えると思います。このトーンのトリックは、1弦、2弦をうろうろすることにあります。ノートが12フレット付近でサステインするよう試してみてください。このエフェクトには、きらめきがあり、またWow/FLTが非常に高く設定されているため、少し不安定に聞こえます。ノートをできるだけ長くサステインさせることで、このトーンが引き立ちます。DrZ® Route 66アンプをベース*としたPhD Motorwayアンプを使用。Driveは67%と非常に高めですが、好みで調整してください。Tube Echoディレイ・モデルのTimeパラメーターは260msへ設定。フィードバックは75%と非常に高くなっています。このパッチでは、Wow/FLTパラメーターをかなり高く上げることで追加の揺らぎを出しており、65%に設定されています。Driveは0%、Mixは75%に上げられています。さあ、楽しんでください。

次回は他の伝説的なエフェクト会社が作ったペダルにインスパイア*されたディレイ・エフェクト・モデルを紹介します。つまり、Electro Harmonix® Deluxe Memory Manをベース*とする、Analog w/Modディレイのことです。最後までお読み頂き、ありがとうございました。では次回!

*各製品名は各社が所有する商標であり、Line 6との関連や協力関係はありません。他社の商標は、Line 6がサウンド・モデルの開発において研究したトーンとサウンドを識別する目的でのみ使用されています。

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