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Helix

リアンプとは、そしてそのススメ

2016.01.25

プロ向けのスタジオで働いているのか、それとも単に友達や家族のために音楽を制作をしているだけなのかに関わらず、ギターをレコーディングしたことがある方なら、最終ミックスを聞いたときに細かい部分を調整したいと思った経験があるのではないでしょうか。

演奏した曲の最終ミックスを聞きながら、「あのスピーカーキャビネットには違うマイクを使ったほうがよかったかな」とか、「ソロのパートのディストーションは、もう少し控えめにすべきだった」などと考えたりするものです。最終ミックスのギターのパートを聴くことは楽しみですが、場合によっては恐ろしくもあります。

多くの場合、この問題についてのギタリストの意見は、トラッキングする段階で彼らが聴くことになるものに大きく影響されます。曲の基本的なミックスが完成し、ギターの”セッションプレーヤー”としての役目が終わると仕上げに入る事になりますが、この場合ミックスが「ファイナル」と呼ばれる段階に至るまで、自分が設定したトーンとサウンドをほとんど調整しないで済むこともあります。しかし、ベースとドラムがまだミックス処理されていないトラックを聴いていた場合は、ミックスダウンの際、全てのトラック間の音の関係性が全く違って聞こえることも少なくありません。

近年のレコーディングにおいては、部分的に音圧が高いことがありますが、それはアナログレコード用にマスタリングをする必要がなくなったからです。昔はミックス内の低音が強過ぎるとレコードの針飛びが起きることがありましたが、今日のCDやMP3はいくらキックドラムが強力でも音飛びすることはありませんので、ミキシング・エンジニアは、ミックスに飛びぬけた周波数情報が入っているかどうかを気にかけることがなくなったのです。それに加え、最近ではプロ仕様にデザインされたスタジオでレコーディングされないことも多く、ミキシング・エンジニアはトラックの音圧を上げるために様々なテクニックを採用しているため、トラックの元のデータと最終ミックスでは全くサウンドが異なるケースが増えました。

こういった状況の変化が、実はギタリストにも影響を与えていたのです!レコーディング中は小さいと思っていたドラムとベースの音が、ミキシング・エンジニアのそのようなマジックにかかると、あなたのギターサウンドはもはや存在感のカケラもなくしてしまうかも知れません。 Bメロに選んだ温かみのあるギターサウンドは大きなドラムとベースに埋もれてしまい、地を這うようなAメロのローエンドも、強調されたキックドラムに完全に打ち負かされてしまうかも知れません。

もちろんミックスの段階でEQやコンプレッションを駆使し延々とギターサウンドを調整することもできますが、ここでは、レコーディング時に聴くギター以外のサウンドが最終形に近ければ近いほど、自分のギタートラックに必要なサウンドがよりピンポイントに把握できる、という事をお伝えしたかったのです。バッキングトラックがまだラフな状態で完成形からかけ離れていると、最終ミックスではどんなサウンドになるか想像しながら自分の音作りをしなければなりません。

こういった状況に自己防衛できる手段は何でしょうか?それは長年一部のプロがスタジオの現場で行ってきた事、すなわちリアンプです。

ギタートラックのコアになるサウンドを変更したい時に行う「リアンプ」とは、ギターパートを新しいサウンドで演奏し直す代わりに、演奏されたものと全く同一のパフォーマンスをアンプに戻して、マイキングし、録音を行う手法です。

これを正しく機能させるには、最低でも2つのトラック、つまり、テープやディスクに記録されるエフェクト処理された完成形のギターサウンド、そしてジャックから出力されるダイレクトなギターサウンドを同時に録音しておく必要があります。ダイレクトなギターサウンドが別トラックとして保存されていれば、後から本物のアンプにその信号を送り、全く異なるトーンを録音し直すことができます。全然違うアンプやキャビネットを使う事も可能です。

この手法には様々な利点があります:

1. ギターのトーンをいつでも変更可能:例えば最終ミックスの段階でギタートラックのかけ録りされたディレイが大きすぎる、加えてアンプのクランチも強すぎると思った場合は、ディスクに録音し直す際にトラックをリアンプし、ゲインとディレイを下げれば良いだけです。

2. ソロやエフェクトのかかったパートもいつでもパンチインができます。通常、タイムベース・エフェクトを多用してかけ録りされているパートは、ディレイやリバーブが途切れてしまうため、パンチインすることは不可能です。しかしダイレクトに録音したトラックが残っていれば、何度でもパンチして納得のいくパフォーマンスに仕上げることができます。それを同じサウンドとセットアップでリアンプすれば、パンチされたことなど聴いても全くわかりません。実際、リバーブとディレイに関しては、されていませんね。

リアンプの利点がわかったところで、「そんなに利点があるなら、何故皆が常にリアンプでレコーディングしないの?」と疑問を持たれることでしょう。それは、リアンプを適切に行うための環境・条件が複雑で、一般の方が気軽にできるような手法ではないからです:

1. ギター信号をアンプとレコーディング・インターフェースに同時に送るためには、2つに分岐させる必要があります。ほとんどのエレキギターはパッシブ・ピックアップのため、ギター本体のすぐ後で信号を分岐させるのは危険が伴います。またアクティブ/バッファー・スプリッター回路を通していないと(シンプルなYケーブルを使う代わりに)、インピーダンスの不適合が起こってしまい、ギター・ピックアップが適切に出力されません。適切にロードされていないギターサウンドは本当にヒドイので、絶対に避けるべきです。

2. エレキギターの出力は、レコーディング・インターフェースやレコーディング・コンソールからのライン出力と比較すると微弱です。チューブアンプの入力回路は、コンソールからのような大きな出力ではなく、この微弱なエレキギターからの出力レベルを処理する想定でしか設計されていません。つまり、テープ/ディスクに録音されたダイレクトなギターサウンドをリアンプする場合は、アンプに送り戻す以前に必要な調整が施されなければなりません。ギターと直接接続されていた時と信号、インピーダンスが全く同じでないと、リアンプした際に同じサウンドを再現できないのです。

プロフェッショナルなスタジオでは、カスタマイズされた機器や、こういった設定を適切にセットアップできる経験豊富なスタッフが揃っており、近年までは、完璧なリアンプを行えるのはこうした施設に限られたものでした。しかし、今ではこのリアンプがはるかに簡単に行えるようになったのです。Helixにはあらかじめリアンプ機能とルーティングが搭載されており、USB経由でDAWにレコーディングを行う際に、利用することができます。

Helixは、デフォルトでは、ダイレクトなギターサウンド(何も処理されていないピュアなギター入力データ)をコンピューター上のDAWに、USBチャンネル7から送る設定になっていますので、難しい設定は必要ありません。USB入力 1/2経由のHelixの通常の出力用に1トラック作成し、USB入力7のダイレクト・ギターサウンド用にもう一つトラックを作成するだけです。ダイレクトなサウンドのトラックをステレオ・ミックス以外の異なるUSBチャンネルに送りたい場合は(例えばUSB出力5 etc.)、送り先を変更し録音ボタンを押すだけです。とても簡単です!パフォーマンスの録り直しがしたい場合は、パーフェクトなテイクになるまで存分にパンチイン/アウトをしてください。

リアンプしてメインのトーンを変えたい場合は、HelixへのインプットをUSB 5に設定するだけで作業を開始できます。たったそれだけです。ダイレクトに録音されたトラックは、ギターを演奏していた時と全く同じレベルでHelixのシグナルチェーンに送り戻されるため、トーンとゲインは完全に同一です。またダイレクト録音したギタートラックを本物のアンプに送る際、エフェクトのセンド(”Instrument”のレベルに設定)を使用する事も可能です。

Helixでは非常に簡単にリアンプの処理を行えますので是非一度お試しください。
Helixに関する詳細はこちら:http://line6.jp/helix/

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