AMPLIFi

Line 6 AMPLIFiの細部をチェック

by Rowbi

生意気ながら愛すべき2歳の娘の父親である私にとって、自分が次のジョー・サトリアーニやアンガス・ヤングになれる深夜の時間を見つけることは難しくなってしまいました。彼女は早くに寝てしまうので、リビングルームに、接続すればすぐにサトリアーニやAC/DCの曲とジャムできるツールがあれば理想的ですし、誰にも聞かれることなく大音量で演奏できるようヘッドフォンも使えれば最高です。こうした機能があれば、ベッドルーム・ロックスターや、学生寮でそれほど音量の出せない学生にも適しているでしょう。

Bluetoothデバイス (スマホやタブレット、PCやMac) から音楽をストリーミングできたり、リハーサルに十分な音量を出せたりすれば、さらに良いですね。アップデートされたビンテージ感があれば、リビングルームにもステージにもマッチするでしょう。そして価格が魅力的なら言うことありません。

Line 6の賢明なエンジニア達は、こうした要求の全てにフィットし、それ以上を提供する革新的で充実した機能を誇るアンプを生み出しました。AMPLIFiと名付けられたこの製品は全く新たなギターアンプであり、Line 6のマーケティング素材では“The guitar amp, reinvented (再発明されたギターアンプ)”と表現されていますが、私は“The guitar amp, evolved (進化したギターアンプ)”程度が適切ではないかと思います。

AMPLIFiを初めて間近で見たとき、最も印象に残ったのは、より現代的になったVox AC30のように見えるということであり、1958年でなく2014年にデザインされたものだと感じました。視認できる位置にLine 6ロゴも無いため、リビングルームに置いたBluetoothスピーカーとしても不自然ではないのですが、ステージに置いてもアンプとして自然なルックスです。レビューに使用した75Wバージョンは驚くほど音量が大きく、十分に頑丈な作りですが、その一方で私が所有する同程度の出力のアンプと比較すると、かなり小さくて軽量です。上面に内蔵されているハンドルを活用すればバスや電車でも簡単に運べますが、ギグでは十分な音量が得られるでしょう。自分で所有しているA75と比較するため、ギターストアでAMPLIFi 150も試してみましたが、さらに音量は大きく、バスで運ぶにはちょっと大きいのですが音量から考えるとコンパクトです。

大きなメリットの1つが、AMPLIFi Remoteアプリで音楽ライブラリーから楽曲を再生すると、数秒以内にマッチしたギタートーンがダウンロードできるということです。これは基本的には、主にユーザー自身が作成したギタートーン/プリセットを収めたクラウドサービスであるCustomToneデータベースを活用しています。つまり誰かのギターでは良いトーンでも、別のギターではそうでは無い場合もあるということです (例えばストラトとレスポールの場合など)。Line 6によると6,000以上の (そして、さらに拡大する) プリセットが存在するということで、確かに数多く用意されてはいますが、演奏する音楽ジャンルによってはマニュアルで検索する必要があるかもしれません。AMPLIFi Remoteアプリはクラウドのプリセットを自動的にロードしますが、その機能をオフにすることも可能です。これは似たようなサウンドの曲を演奏する場合には便利で、完璧なプリセットが見つかった場合には、アプリがそれを曲毎に変更しない方を好むでしょう。

ちょっとした問題点は、AMPLIFi Remoteアプリは (現時点では) iOS7デバイスでのみ動作するということで、つまり過去数年に発売されたiPhoneやiPad、iPod touchに対応しているということです。これは実際には何を意味するのでしょう? 自分ではiOSデバイスを所有していなくても、例えばパートナーがiPadを持っていれば、それで十分な場合もあります。でも多用するのであればiOS7対応のデバイスを所有する必要があるでしょう。ただしアンプをスタンドアローンで使用するなど、その他の機能にはiOS7デバイスが必要でないものもあります。Bluetooth対応のデバイスであれば (メーカーや型番を問わずBluetooth装備の電話全てやタブレット、PC/Mac)、AMPLIFiのBluetoothボタンを2秒間押してペアリングすることで音楽をストリーミングして、再生することが可能です。またアンプ内に4種類のプリセットをストアして、それをアンプのトップパネルにあるボタンか、またはオプションのFBV Express MKIIまたはFBV Shortboard MKIIで選択できます (詳しくは後述).

ウェット/ドライ・アンプは、より大規模なリグで採用されることが多いので、AMPLIFiの潜在顧客層にとっては恐らく耳新しいものだと思います。これは中価格帯のアンプにおいてはハイエンドな機能であり、このアンプへさらに価値を追加します。基本的にはポスト・アンプモデルのエフェクト (大抵はタイムベース・エフェクトのモジュレーションやディレイ、リバーブなど) を分岐して、別のスピーカーから出力するものであり、それによりサウンドの明瞭度が上がります。Line6.comに、それをうまく解説する図版が掲載されています:

AMPLIFiのライブでの活用を話題にするのは、AMPLIFi Remoteアプリの活用方法やBluetoothによる音楽ストリーミングの話の後では、少し奇妙に思われるかもしれません。でもAMPLIFiへ前もって4種類のプリセットをロードし、FBV MKIIフットペダルを接続すれば、iOS7を統合しなくてもリハーサルやギグ用の素晴らしいアンプを手にすることができます。しかもセット間のブレークでは、Bluetooth対応のスマホに音楽ライブラリーを入れているメンバーの誰かが、バーでビールを飲みながら友人のために録音済みのリフを再生することも可能です。アンプのトップにはDriveやBass、Middle、Treble、Reverb、FXのトゥイーク (詳細は後述)、マスターボリュームのノブも用意されています。またTAPボタンではタップ・テンポを設定でき、長押しするとチューナー機能も利用可能。マスター・ボリュームは、Bluetoothデバイスからバッキング・トラックを流す際にはブレンド・コントロールの役割も果たします。この機能は演奏にバッキング・トラックを必要とするワンマンバンドやデュオには理想的です。またAUX入力も用意されているので、優れたFRFRアンプを構築するのにも使えます (例えばPOD HDなどに小規模〜中規模なPAとして追加)。

FBV MKIIペダルがどのように機能するかを詳しく知りたい場合は最近作成した、FBV Shortboard MKIIで何をできるかを詳しく解説した以下のビデオをご覧ください:

このビデオでは、アンプにあるFXトゥイーク・ノブについても触れています。様々なエフェクトのパラメーターにアサイン可能で、iOSアプリ無しで演奏する際のために用意されています。例えば2曲で同じプリセットをディレイのミックスだけ変更して使う場合には、このノブを活用しましょう。FBVペダルは内蔵されるボリュームとワウのエフェクトをコントロールする、ワウ&ボリューム・コントローラーとしても使えます。ワウ・モデルも事前にiOSアプリでエディットしておくことが可能です。またFBVペダルはギグ中にチューナーが必要な場合に、アンプの方を振り返らずにチューニングを行えます。

AMPLIFi Remoteアプリにはユーザーガイドのようなものは付属していないので、アプリで自分で理解できるか、ビデオから学べる人でないと少し苦労するかもしれません。でも1時間ほど使い、ビデオを見て (下記を参照)、メニュー全てをチェックすれば自在に使えるようになるし、とてもシンプルで分かりやすくできています。ビデオはLine 6のWebサイトにあるFAQへ用意されており、トーンの作成や保存、エディット、管理やパブリッシュの方法が説明されています。これだけ分かればアプリを利用するのに十分な情報が得られたことになります。リンクは以下の通りです:

http://line6.com/support/page/kb/_/japanese-support/amps/amplifi-faq

ここで私にとって重要なのは、AMPLIFi Remoteアプリを使うとアプリ内の“My Tones”と呼ばれる場所にプリセットを保存できることです。これは新しい曲のストリーミングを開始した際にトーンが自動ロードされる設定 (Auto Tone Loading) を無効にすることと関連しており、音楽ライブラリーにマッチしたトーンをロードして、アルバムの再生を開始して、それに合わせて演奏を行えます。これまで演奏したことの無い曲とジャム演奏する場合は、プリセット/トーンをクラウドから自動ロードする設定をオンにすればいいのです。私の場合は、以上の2つのシナリオが重要です。

トーンが自動ロードされる際、それを少し変更したい場合があります。このトーンを後からでも使えるよう、それをAMPLIFi Remoteで“My Tone”へ保存し、さらにパブリッシュしておけば、他のAMPLIFiユーザーも使用することが可能になります。これはYouTubeでデモ演奏するにはとても便利で、同じアンプのユーザーであれば、そのトーンに後からアクセスできます。この機能を試すこともできますよ。アプリ内で楽曲をロードしてクラウド検索のボックスを出して、‘ambient delays demo’を検索すると、私がビデオで使ったディレイ・デモ・トーンを呼び出すことができます。

AMPLIFi Remoteアプリでプリセットをエディットするのは非常に分かりやすいし、充実したセッティングが用意されているので、何の不満も感じませんでした。詳しくは、是非ビデオをチェックしてみてください。Line 6のFAQも、より理解を深めてくれます。

評価 – 10点満点中9点

長所: リストアップするには多過ぎますが、大抵のプレイヤーにとっては、あらゆる場面で活躍する21世紀版のギターアンプになっています。特筆すべきは、ルックス (妻もリビングに置くことを許可してくれました)、Bluetoothストリーミング、自動トーンロード、素晴らしいLine 6トーン、そしてポータブルさ。

短所: 小さな問題ですが、Android/Windows Phoneアプリが無いこと、iOSリモートアプリにマニュアルが用意されていないこと。

本ポストは「Rowbinet – Rowbi’s Guitar & Recording Blog」に掲載された原稿を、著者の許諾を受けて転載したものです。

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