POD HD

James Tyler Variax & POD HD – アコースティック・サウンドに関するTIPS

2013.10.29

by Sean Halley

Line 6のために作ってきたビデオ・コンテンツに対して、最も質問が多かったトピックをひとつ挙げるなら、それは「どうやればJames Tyler Variaxから最高のアコースティック・ギター・サウンドが得られるか?」というものでしょう。従来のビデオに対する個人的な質問やメール、YouTubeでのコメントの量から考えると、この分野に興味を持つ人は多いようですので、それに対する私の考え方を述べさせてもらうことにしましょう。

本物のアコースティック・ギターを演奏する際の重要な変数として、弦のゲージが挙げられます。008を張ったエレキギターを鳴らしたものと、同じギターに011を張って鳴らしたものを比較すると、同じ楽器とは思えないほど違っています。011の場合、よりパワー感と音量が得られます。それだけでなく、弦が演奏された際にその場に押さえつけようというテンションも強くなるため、サドル上で揺れ動く量も減ります。実際には弦が非常に緩い場合の弾力性など、他の好ましい弦の属性も少なくなってしまうのですが、全体としては弦が太いほど、よりビッグなサウンドが得られると言えます。

同様のロジックはアコースティック・ギターにも適用できます。弦が太いほど、よりテンションも強くなり、サドル上でも安定して、その高いテンションによりウッドトップがドライブされる量も増えるため、よりサウンドも大きくなります。

また重要な変数として、アコースティック・ギター用の弦はほとんどの場合に銅や真鍮製であることも挙げられ、ニッケル製のエレキギター弦とは全くサウンドが異なります。

James Tyler Variaxは、サンプルなどをトリガーしている訳ではありません。ギターのブリッジに埋め込まれたピエゾ・ピックアップの入力シグナルをもとに、その共鳴や減衰を処理しているので、弦の太さや材質、新しさが重要な影響を与えます。

そのため特にアコースティック・サウンドの場合には、010を張ったJames Tyler Variaxを、008を張ったMartin® HD-28®アコースティック・ギターのように演奏することを考えると役立つかもしれません。

ドレッドノート・アコースティックに非常に細い弦を張って演奏するのであれば、ちょっとした調整が必要でしょう。弦が非常に細いので、そんなにハードには演奏できません。ギターのウッドトップをドライブする遥か以前にテンションが切れてしまうのです。

そこでコツその#1#2を紹介しましょう:私は自分の演奏するJTVギターの全てに011弦を張り、アコースティック・サウンドの場合は008を張ったドレッドノート・アコースティック・ギターのように演奏します。つまり弱く演奏するということです。実際のところ、物凄く弱く演奏しています。

率直に言って、優れたJTVアコースティック・サウンドを得るためには、私の中にも葛藤があります。従来のエレクトリック・サウンドを演奏する際にはかなり強く演奏するのですが、アコースティックサウンドを演奏するときは、全く異なる扱い方をしています。

次のステップはそれを聞くことであり、そのためにプレイバック・システムが必要です。

アコースティック・ギター・サウンドは、エレキギターのアンプで聞くと、私にはヒドいサウンドとしか思えません。エレクトリック・アンプのプリアンプのゲインを最小にして、高域を極端にロールオフすることで、歯が痛くなるようなサウンドを改善することはできますが、アコースティック・ギターのプレイバック・システムはフルレンジで、かつ100%クリーンであるべきです。

コツその#3#4: JTVでアコースティックの音を出す場合、ギターは1/4”フォーンまたはVDIでPOD HD500XかPOD HD500、POD HD Proへ接続し、アコースティック・サウンドに対してはアンプ・モデルは絶対に使いません。つまり、アコースティック・サウンドはDT25やDT50アンプからは出力されない、ということにもなります。StageSource L2やStageSource L3スピーカーから出力するか、Pro Tools HDXやFOHミキシング・コンソールへダイレクトに送ります。

POD HDでアコースティック・パッチを設定するにはいろいろな方法がありますが、まずはギター本体を設定する必要があります。

以下のビデオでは、ピックアップ・ポジション5のアコースティック・モデルが、全くプロセッシングされない状態になっています。POD HD Proのブランク・パッチがXLRアウトから出力され、それがマイク・プリのペアに送られ、そこからPro Tools HDXに入っています。それだけです:

James Tyler Variaxが最新のファームウェアで、POD HDがブランク・パッチなのにこれに近いサウンドが得られない場合は、演奏やセットアップを見直す必要があります。重要な3つの変数を思い出してください。私は011弦を使い、シャープピックと指を同時に使って、とてもライトに演奏しています。

ScreenShotAcousticVariaxアコースティック・モデルの生のサウンドを確認したら、それを詰めていきましょう。典型的なパッチをご紹介します (私のCustomToneプロフィールに用意されています):

プロセッシングは、ほんのわずかです。ミキサーの前ではEQでわずかに220Hzが削られ、ミキサーの後ろにあるチューブ・リミッターでトランジェントがほんの少しだけ下げられています。そして最後のプレート・リバーブで、ちょっと広げられているだけ。アンプ・プロセッシングは皆無で、強烈なEQも行われていません。このセッティングを簡単に紹介しましょう:

以上です。必要なのはこれだけです。後はできるだけライトに演奏する方法を体得し、サウンドが汚れない範囲でどれだけギターを搔き鳴らせるかを把握できるようにしてください。

さあ、少しはお役に立てたでしょうか? 最後に、このシンプルなシグナル・チェーンで演奏したアコースティックのサウンドを、ビデオでご紹介します:

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