TIPS/テクニック

鈴木健治の「ギターレコーディング・マスタークラス」 第9回

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ギターソロのバリエーション

こんにちは、ギタリストの鈴木健治です。
ギターレコーディング・マスタークラス。第9回目の今回は、ギターソロのバリエーションと題して、同じコード進行でギターソロで空気を変えるようなアイデアを紹介します。

基本は曲ありき

ギターソロと言っても、楽曲の一部である以上、ギターソロパートの事だけを考えていては、曲にとって良いギターソロとは言えません。

このテクニックを使いたい、この音で弾きたい、誰々風に弾いてみたい等、演奏者としての欲求はよく分かりますが、「こういう曲でこの場面だからこういうソロを弾こう」、こういう風に考えることはとても大事な事です。

さらに曲の雰囲気が「ホットなのかクールなのか」、歌ものなら「ボーカリストの声質はどうか」など、良いギターソロに落とし込むために意識することは数多くあるものです。

そういったことを踏まえて初めてテクニックなどが活きてくるんですね。

今回はバリエーションのアイデア

上に書いたようなことは是非意識して頂きたいのですが、今回はそういった方向性は決めた後を想定して、ギターソロのバリエーションのアイデアを紹介します。

フレーズも音色も大事です

こういうフレーズにはこういう音色、こういう音色ならこんなフレーズ。と言ったように、フレーズと音色にはある程度相性みたいなものはありまして、今回は4つの音色を使い、その音色に合ったフレーズを意識して弾いています。
そのあたりの考え方、弾き分け方も参考にして頂ければ。

コード進行が同じ8小節のバックトラックに合わせて、ギターソロで色を付けてみました。

さっそく聞いてみてください。

A. 90年代〜スタジオ系アプローチ [動画0:08]

いわゆるギターソロの王道といったところでしょうか。
音色もゲイン高め、空間系多め、モジュレーションもありな感じで、昔ならラックで作っていた、LAスタジオ系な音ですね。
ここ最近この頃の音色やテイストが再び脚光を浴びている印象もありますね。

もちろん今ならHelixで簡単に作ることが出来ます。

これ系の特徴として、アーミングやテクニカルな要素も入れながらも、どこかメロディックで存在感は多め、と言うことが出来るでしょう。そして所謂「ヘタウマな良さ」とはあまり相性が良くないのも特徴のひとつですね。
また、音作りで音像を少し遠目にすることで、生々しさを和らげているのも大きな特徴です。

90′s Rack:https://line6.com/customtone/tone/3390031/

B. 少し枯れた感じ [動画0:43]

枯れた音、枯れたフレージング、かなり抽象的な言い方ですね。
BBキングのような枯れ方、クラプトンの枯れ方、ヴァンヘイレンの枯れ方…。
それぞれ受ける印象は違いますし、ブルージーという言い方をするならば、その人が生きてきた環境や考え方なども音に現れますので、人それぞれ違うとも言えてしまいますね。

ここではそういったディープな事はひとまず置いておいて、テクニックとして枯れた感じにするアイデアを紹介します。(結局それでも経験してきた事は大きいのですが…。)

こういう場合はピッキングのニュアンスを強めに出したいので、歪みもあまり深くなく、モダンできめ細かい歪みよりも、少しダーティなドライブ感を、弾き方でコントロールするのは良い方法だと思います。
シングルコイルのリア以外が比較的雰囲気を出しやすいとも言えます。

Helixでは、マーシャルのプレキシ系をベースにしたモデルをチョイスして、キャビネットをGreen BackとHiWattのモデルのミックスで音作りしています。

また、ここでの大きなポイントとして、ボリュームペダルを歪みより前段階に置く事で、音量の変化と言うより、どちらかと言うと、歪み方のコントロールとして使っています。さらに、ボリュームペダルとローカットEQを連動させているのも特徴のひとつですね。

Blues Drive:https://line6.com/customtone/tone/3390032/

C. 音詰め込み系 [動画1:18]

今度はだいぶ雰囲気を変えて、音を詰め込むアプローチをしています。
こういったフレージングはテクニカルなイメージを出しやすいですね。
音色的には、かなり歪ませて、コンプも使い、ピッキングでのダイナミックレンジを狭めて、フレーズに均一な強さを与えるようにしています。

ちなみにもっとダイナミックレンジを出すような音色にすると、ガッツのある熱い感じになります。

そこそこ速いフレーズを弾いていますが、フレーズの始まりと終わりのタイミングが肝かもしれません。

Technical Metal:https://line6.com/customtone/tone/3390034/

D. レスリースピーカーで独自の音像 [動画1:53]

ここでは「145Rotary」を使いレスリースピーカーのシミュレートをしています。
ギターアンプのキャビネットは使っていません。
オルガン用に作られたレスリースピーカーですが、ギターにもとても相性が良く、僕自身何度か本物のレスリースピーカーを使いレコーディングした事があります。
なかなか味わい深い感じになりますよ。

演奏としては、速く弾く系のテクニカルな要素を排除して、少し素朴な感じをイメージしています。シンプルなメロディをあまり色を付けずに弾くのもポイントですね。レスリーの揺れがあるので、ビブラートも殆ど付けていません。要は歌いすぎない事です。(ジョージハリスンのギターのように)

Leslie Fuzz:https://line6.com/customtone/tone/3390033/

まとめ

今回はギターソロの音色とフレージングで、雰囲気を作るアイデアを紹介しました。
Helixを使えば、多くの機材を使わずとも、様々なテイストのトーンを出すことが出来ます。
これはアイデアをすぐ形にしたいような時に、とても頼りになりますね。

今回Helixで作ったパッチはLine 6のCUSTOMTONEにアップしていますので、是非参考になさってください。

では、また次回!

*各ブランド/製品名は各社が所有する商標であり、Line 6との関連や協力関係はありません。他社の商標は、Line 6がサウンド・モデルの開発において研究したトーンとサウンドを識別する目的でのみ使用されています。


著者プロフィール:鈴木健治(すずきけんじ)
Kenji Suzuki

ギタリスト、ギターサウンドデザイナー、トラックメーカー。
神奈川県出身。
10歳でギターを始める。
20歳でプロとしてのキャリアスタート。
以来、スタジオミュージシャンとして、宇多田ヒカル、MISIA、BoA、EXILE、倖田來未、SMAP、安室奈美恵、坂本真綾、ケツメイシ… 他沢山のアーティストの作品に参加。その数は1000曲を超える。
キレのあるリズムギター、歌う様なリードギターは、1990年代後半~2000年代のJ-POPでのギターアプローチに多大な影響を与える。
2018年でプロミュージシャン生活30年を迎える。

ギタリスト鈴木健治オフィシャルサイト

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