Helix

阿部学のHelixトーク 第24回

『パワーアンプで歪むアンプ・モデルをリターン挿し等でも使いたい!』

今回のテーマはライン接続ではなく、アンプのリターン挿しや外部パワーアンプ等に繋ぐ際の話です。
HelixはこれまでのPOD HD500X等の機器と違い、出力する先に合わせてアンプ・モデルのブロックのタイプを選択するようになっています。

abe24-1

なので、アンプのリターン挿しや外部パワーアンプを使用する場合は、「Preamp」を選択します。
しかしながら、マッチレス等のブティック系アンプやオールドのマーシャル等のアンプ・モデルはパワーアンプのボリュームを上げないと歪まない為、上記のような使い方の場合、せっかくのアンプならではの歪みが使えなくなってしまいます。
Helixがアンプの細かい動作までしっかりとモデリングしているのは見事としか言いようがありませんが、せっかくならアンプに繋ぐ時もこの魅力的な部分を活かしたいですよね!

実はこの話、セミナー時にちょくちょく出る質問なんです。
その時はHelix内の歪みペダルのモデリングを使用してみては?等の返答をしていたのですが、微妙に釈然とせず…

そこで「Preamp」ではなく、パワーアンプ部分のモデリング込みの「Amp」を使用してみたらどうかと考えました。
こうすればアンプならではの歪みが活かせると。

しかし音的にはどうか…。
所謂「抜けない音」になってしまう可能性は高いような気がします。
しかしながら、色々な部分を調整すれば充分使えるのではないかと考えた訳です。
僕は真空管パワーアンプとキャビネットを所有していて、この組み合わせでも使う事があるので、今回はこれで検証してみました。

もちろん実際には使用する機材や環境によって結果は変わってくるので、一例として、ご参考にしてください。
ここでは、FRYETTE PS-1 POWER STATIONとCAA 212キャビネットを使用しました。

検証には敢えていつも使用しているアンプ・モデル「ANGL Meteor」と「Brit P75 Brt」の「Amp」、「Preamp」共に選択してみました。
ちなみにANGL Meteorは「Preamp」でも歪むモデルですが、使い慣れているほうが違いがよく分かると思ったからです。
そしてBrit P75 Brtは「Preamp」だとほとんど歪みません。

さて、まず「Preamp」と「Amp」ではパラメーターの数に違いがあります。
まずPresenceが「Preamp」にはありません。

abe24-2

abe24-3

Presenceはよくプリアンプ部分のEQと思われている方が多いですが、パワーアンプの高音を調整する物です。
でもMaster Volumeはあります。「Amp」だとこの部分を上げていくと歪みも増していきます。

abe24-4

abe24-5

しかしながら「Preamp」のBrit P75 BrtはこのMaster Volumeを上げても、ほんの少ししか歪みません。

ここで「Amp」のほうを選択してみると…
しっかり歪むものの、やはり前に出てくる音には感じません。
この感じを文面で伝えるのは何とも難しいのですが、パワーアンプのモデリングを通っているせいか、変に音圧感があるんです。
中域が無いドンシャリなサウンドというか。

もう1つのANGL Meteorも同じです。
妙にドンシャリ感のあるサウンドになります。
これを大きい音で出したら、バンドサウンドに埋もれてしまうだろうと予測できます。

では、これをどう解決するか。

EQを使って補正をするのも良いですが、もっと簡単には出来ないものか。
という事でアンプ部分のパラメーターの調整だけでやってみる事にしました。

やり方はいつも使用しているANGL Meteor (Preamp) の音に近づけていくという単純な方法。
これをやってみて分かった事は「かなり近づける事が可能」という事。

・Master Volume デフォルトの数値
・Drive 少し下げ目
・Bass ほぼカット
・Middle ほぼ全開
・Treble 少し下げ目
・Presence 下げ目

あとこの部分も弄ってみました。
・Sag 下げる
・Bias X 下げる

abe24-6

abe24-7

これでほぼ同じサウンドにする事が出来ました。

次はBrit P75 Brtですが、これも全く同じやり方。

abe24-8

abe24-9

これでアンプならではのドライブサウンドを活かしたまま、プリアンプとしての使い方として違和感ないサウンドになったと思います。
この方法なら簡単なので、リハーサルスタジオやライブ会場ですぐ微調整が可能です。
ただ一つだけ注意点があります。
このやり方だと音量がかなり大きいので、「Preamp」の時よりCh Volをかなり下げめしてください。

今までのオールド系やブティック系のアンプ・モデルを、リターン挿しや外部パワーアンプで使いたいけど諦めていた方はこの方法を是非とも試してみましょう!

*各ブランド/製品名は各社が所有する商標であり、Line 6との関連や協力関係はありません。他社の商標は、Line 6がサウンド・モデルの開発において研究したトーンとサウンドを識別する目的でのみ使用されています。

★阿部学主宰Helix ユーザーグループ(Facebook)への参加
https://www.facebook.com/groups/910662599034878/


Manabu Abe

著者プロフィール: 阿部 学 (あべ まなぶ)
13才でギターを始め、バンド活動。
その後は六本木ピットイン等でのセッション活動や楽器メーカーのインストラクターを経て、女性ユニットZweiのサポートギタリスト、 ディズニーリゾートでのショー出演、セッション活動、ゲームミュージックのレコーディング活動等、精力的に活動。
最近ではLine 6のデモ演奏・セミナー、岩佐美咲(元AKB48)のサポートギタリスト、渡辺美奈代のアニバーサリーライブでのギター参加、他にギターレッスンにも力を入れている。

« 記事一覧に戻る