TIPS/テクニック

阿部学のHelixトーク 第3回

『アンプ・モデリングの進化』

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さて、Helixブログの3回目はアンプ・モデリングの進化について、個人的な思いみたいなものを書いてみたいと思います。

僕は過去の代理店時代からデモンストレーション等を担当させて頂いていたという事もあり、Line 6のほぼ全ラインナップを弾いてきたギタリストであり、Line 6のモデリングの進化をリアルタイムで味わってきました。
なので、ここまで進化してきたアンプ・モデリングについてちょっと語ってみたいなと・・・

さて、Line 6といえばモデリングですよね。
90年代後半、とある製品が世に出て一つの時代が始まりました。

そう『POD』です。
それまでもマルチエフェクター等にはスピーカーシミュレーターや、実際のアンプを模したサウンドが入っていました。
しかしLine 6はモデリングという今までに無かった独自の技術で、今までのギターサウンドメイキングの概念を変えてしまったのです。

今までのマルチエフェクター等に入っていたシミュレーターでは、あくまで簡易的なラインレコーディングしかできなかったのに対し、本格的なレコーディングが出来てしまう程のリアルなアンプ・サウンドがあの小さいサイズの筐体が出てきたのです。
この時のインパクトは本当に凄まじく、ギタリストは皆こぞって手に入れましたし、楽器店では入り口近くに山のように積み上げて販売していたほど。

この辺りの話はHelixからあまりにも離れてしまうので割愛しますが、この後の進化も目覚ましいものがあります。

POD –> POD 2.0 –> PODxt –> POD X3 –> POD HD500(HD500X)

PODシリーズはこのように進化してきました。
※他にもアンプ等ありますが、モデリング・エンジンは共通なのでPODをベースに話を進めていきます。

個人的に物凄いインパクトがあったのが、第二世代であるPODxtでしたね。
初代PODでも、十分リアルだったアンプ・モデリング・サウンド。
しかし時代が経つとユーザーも慣れてしまうものです。
そして他にも様々なメーカーが『ポストPOD』を目指し、色々な製品を出してきた時代でもありました。

そこにLine 6が投入してきたPODxt。
これを弾いた瞬間、また一つ時代が進んだと実感しました。
そしてその後、POD HD500のHDモデリングでさらなる進化を遂げたのは記憶に新しいですよね。

そこから数年経ち登場したHelix。
HelixのHXモデリングは今までとはレベルの違う進化を遂げました。

このアンプ・モデリングの進化とは何か。
僕はギタリストなので、技術的な面ではなくサウンド面の話をしたいと思います。

このモデリングの進化を最も顕著に感じられる部分は、やはり弾き手のニュアンスが出るか否かと思います。
今までのPODの進化でも、この部分がどんどん良くなってきてますよね。
PODxtの時も驚きました。
POD HD500の時も驚きました。

そしてHelixではさらに驚きました。

弾き手の個性、使用ギターの個性まで全てきっちり出ます。
特に秀逸なのが、ギターのP.Uやボリュームを変化させた時の挙動。
ギターのボリュームを下げていくと、歪みからクリーンサウンドへリニアに変化していきます。
しかもアンプのキャラクターを忠実に残したまま。

以前まで、僕はハードディストーションとクランチサウンドのパッチを分けて音作りしていました。
やはりアンプ・モデリングを分けて作らないとリアルなサウンドが得られないと思っていたからです。

それが今回のHelixになってから、歪み系サウンドは基本的に1つのパッチしか使っていません。
それはハードディストーション~クランチサウンドが、ギターのボリューム操作、P.Uのチェンジだけで事足りるようになったからです。

そしてアンプ・モデリングの進化に伴って感じられる聴感上の変化について、僕がいつも思うのは、高音(プレゼンス)成分の出方の違いですね。
真空管アンプは暖まってくると、特有のプレゼンス感があります。
そこが所謂『気持ち良い音』だと思いますが、この部分が進化によって、よりリアルになっていると感じます。
この辺りはライン接続だけでなく、アンプに繋いでも感じる事が出来ます。

ここ近年、レコーディングの環境、ライブの環境ともに大きく変わりました。
レコーディングに関しては率先してライン接続で録音する人も多くなりました。
ライブでもライン接続を選択する人が多くなりました。
多くのメリットがありますからね。(この辺りはまたHelixブログでも取り上げたい内容です)

作業効率の良さもありますが、アンプ・モデリングの進化により、もはや『アンプを鳴らしてマイクで拾う』という従来のスタイルと比較しても遜色が無いと言えるまでになりました。

Helixを弾いた事が無いという方は勿論、すでに所有している方も様々な方法でのサウンドメイキングにチャレンジしてもらいたいですね。

そうすれば、モデリング技術の先駆者であるLine 6の「本気」が必ず感じられるはずです。

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著者プロフィール: 阿部 学 (あべ まなぶ)
13才でギターを始め、バンド活動。
その後は六本木ピットイン等でのセッション活動や楽器メーカーのインストラクターを経て、女性ユニットZweiのサポートギタリスト、 ディズニーリゾートでのショー出演、セッション活動、ゲームミュージックのレコーディング活動等、精力的に活動。
最近ではLine 6のデモ演奏・セミナー、岩佐美咲(元AKB48)のサポートギタリスト、渡辺美奈代のアニバーサリーライブでのギター参加、他にギターレッスンにも力を入れている。

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