Helix

ギタリストの常識を覆したハンズフリー・エディット

2016.01.15

近代的な世の中には、プロダクト・デザイナーが手掛けた製品で溢れており、生活する上で欠かせない存在です。何気なく座っている椅子や、日々開け閉めしているドア、毎日のように生活の中で何かしら押しているボタンでさえも全て、製品として世に出る前の原型は、どこかのデザイナーの頭の中にあったアイディアなのです。

うまくデザインされていない製品には不満を感じる事で、注意が引きつけられます(例えば、何故この車は給油口のレバーがダッシュボードの中にあるの?と不満を感じた時など)。一方デザインが優れているものは無意識に使っていて、当たり前のようにその役目を果たし、日常生活の一部となっているため、敢えて気に留めたりすることはありません。

事実、デザインの優れた製品は私たちの日常生活に溶け込み、それらを日々使用しています。今ではペーパークリップやベルトループが登場する以前の生活を思い描いたり、安全錠や車のワイパーなしの生活を想像したりする事はないに等しいのではないでしょうか(個人的には自宅のエスプレッソ・マシーンにとてもお世話になっています)。しかしそういった製品の存在価値は、いざ必要な時に使えなかったりするとはじめて気付かされるものです。

今述べたような人間の本性とデザインの関係性こそが正に、新たなアイディアや発明の妨げになっていると言えます。ある事柄を実現するためのより良い方法を見つけるには、多大な努力が必要とされるからです。

ギタリストの場合はどうでしょう。使い方・使用方法を考えたとき、慣れ親しんだ機器やその用途は1960年代からあまり進歩していません。最近のギター用エフェクターは昔よりノブの数や、同時に実現可能な機能が増えたかもしれませんが、とにかくノブが付いているという事実は昔となんら変わりません。その理由は簡単で、未だに指ですべてを調整しているからです。

そこで問題になるのが、ギターの演奏とノブの調整は同時にはできないという事です。演奏と調整、いずれか行うにはどちらかを一旦止める必要があります。ギタリスト達はその“演奏 - 調整 - 演奏 - 調整”のリズムに慣れてしまい、それが当たり前になってしまったため、他にも方法があるかもしれないとは考えも及びません。過去に画期的な製品に挑戦したメーカーもなくはありませんが、この既成概念を完全に覆す製品の開発に至ったケースはまだ例を見ません。

私たちはHelixの開発中、タッチセンシティブなフットスイッチがあれば、3秒以内でフットスイッチにエフェクトをアサインできると考えました。また、アサインされているスイッチを、ユーザー・インターフェースを通じてナビゲートする事に使い、エディットしたいブロックを素早く呼び出すことができると考えたのです。この方向性は正しく、大きな前進でした。これならジョイスティックを操作する従来の方法よりはるかに素早く操作可能です。

しかしこれでもノブを調整するのに指を使う必要があるため、操作が思ったほど早くなるとは言えませんでした。

ある段階で私たちは、素早い操作を必要とする機材を、すでにギタリスト達がエフェクトボード上に所有している事に気が付きました。事実、彼らはエレキギターのプレーヤー人生の中で、体のあるパーツをパフォーマンスの中に組み込む術を自然に身につけてきたのです。

そうです、足での操作です。殆どのエレキギタープレーヤーには足がありますし、実際に、演奏しながら足でペダルを快適に操作しています。(まずはワウワウやボリュームペダルでコツをつかむのが良いでしょう)。ならばこの慣れ親しんだ足での操作により、ノブを調整する新たな方法がないか模索しました。

そこに着目したことが、後に「ペダル・エディット・モード」を開発するきっかけになりました。このモードでは、選択したエフェクトのブロックにあるパラメーター全てを、エクスプレッション・ペダルで調整可能です。最初は戸惑うかもしれませんが、近年で最も革新的な技術的進歩でも同じことが言えます。携帯電話でフォトアルバムの次の写真を見るには、携帯の画面をスワイプすると初めて教えてもらった時は、半信半疑ではありませんでしたか?それも今やほとんどの人が当たり前に操作できるように、ペダル・エディット・モードの編集スタイルがギタリストにとってはスタンダードになる日が来るかもしれません。

機会がありましたら、是非正規販売店にてHelixのペダル・エディット・モードをお試しください。プリセットを1つ選択しMODEフットスイッチを3秒長押しすると、ペダル・エディット・モードに切り替わります。ギター・トーンのどの部分を調整したいかを決め、エクスプレッション・ペダルで調整してみてください。

皆さんも、私が初めてペダル・エディット・モードを試してみた時と同じような気持ちになると想像できます。最初の戸惑いはすぐに消え、演奏を止めることなく何度も同じリフをプレイしながら、アンプとエフェクトのパラメーターの調整ができる快適さを実感しました。数秒も試奏すればすぐに勝手がわかり、自然に使いこなせるようになるでしょう。

Helixのペダル・エディット・モードに関する情報は、line6.jp/helixでご確認いただけます。是非店頭で実機をお試しください。

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