Line 6 Japan

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ライブサウンド製品

ギタリストの夢が実現! Part 1 – Line 6 StageScape M20dレビュー

by Rowbi

私はギタリストなので、これまでミキサーやPA機器にはそれほど注意を払ってきませんでしたが、Line 6 Dream Stageの発表には目を引かれました。当初、私のニーズにはちょっと高価だとも思いましたが、実際に短い時間だけでも操作してみると、どれだけのことを実現できるかを理解でき、またその価格に見合う以上の価値があることが分かりました。

Dream Stageは単一の製品ではなく、Line 6 StageScape M20dスマート・ミキサーと、最低1台のStageSourceスピーカーを組み合わせたものです (もちろん、スピーカー1台では楽しめませんが)。このシステムが実現しているテクノロジー面での様々なブレークスルーにより、バンドがライブサウンド機器を活用する方法にレボリューションが起こり、しかもサウンド・エンジニアの助けを借りる必要もありません。これは凄い! Dream Stageの詳細は情報は ここ に掲載されていますが、ギタリスト目線でのM20dのレビュー、そしてこれから3回に渡ってDream Rigのコンポーネントをチェックするレビュー・シリーズに興味がある方は、このまま読み進めてください。

私はまず、マニュアルを見ずにM20dの前に座りました。私の場合、まずは幾つかの機能を自分で解明し、何か分からない箇所が出て来たときにマニュアルを開く方が、ギグで初めて使う際にも機材の使い方を思い出しやすいのです。M20dへ機材を接続すると、何かが接続されたことが自動的に認識されるということは、数分で理解できました。M20dのセットアップでは、実際のステージやリハーサルの配置と同様にアイコンをアサインできるため、どのチャンネルに何が接続されているかを記憶したり、各チャンネルに名前を付けたりする手間が無くなります。さらに、ギターのキャビネットへ複数のマイクを使ってマイキングしたものや、全てのドラム・マイクなど、複数のソースを1本のフェーダーへグルーピングすることも可能です。この際に素晴らしいのは、例えば1本目のマイクが-20dB、次のマイクが-15dB、3本目が-5dBだったとすると、グループ・フェーダーはアサインされた各マイクを、レベルの数値でなく割合で増減してくれるのです。これはクールですよ! 実際にM20dを使ってギグを行った際、自分と他のギタリストのレベルを設定後にグルーピングしておくと、そのバランスを保ったまま両方のギターのレベルを一緒に上下できるのが非常に便利でした。

最初の段階で完全には理解できなかったのが、SetupタブとPerformタブの目的の違いでした (前述したように、私はマニュアルをチェックする前に機材を試しますからね)。でもM20dに慣れると、セットアップを作成し、その保存やレストアが出来ることが分かりました。またM20dのファームウェアをアップデートした際には、セットアップをバックアップしておかないと消されてしまうということも(辛い現実とともに)理解しました。SDカードやUSBメモリー、USBハードドライブは、こうした場合に本当に役立つというわけですね。さらにPerformモードでは、セットアップ内にシーンを作り、そのバックアップやレストアもできるのですが、それを理解するにはもう少し時間がかかりました。基本的に、セットアップには全インプットのセッティングとそのレベル全てが含まれており、ロードには数秒かかるので、複数の会場に出演するバンドが幾つかのコンフィギュレーションを保存しておく、あるいは様々なバンド用に異なるコンフィギュレーションを保存しておきたい会場のための機能だと言えるでしょう。シーン (Performモード) は曲によるレベルの変更を保存するのに便利で、ロードも素早く行われます。セットアップとシーンに関しては、Line 6が用意した素晴らしいビデオが ここ で見れますので、チェックしてみてください。これもM20dが提起する新しい機能だと言えるでしょう。ギタリストからすると、バーやパブで行うギグのセットアップの際に設定したレベルは、そのまま維持しておきたいでしょう。M20dの場合、以前にも演奏したことのある会場であれば、ボタンを押すだけで前回の設定を呼び出すことができ、レベルがその日の演奏にピッタリかどうかを、最後のサウンドチェックで確認するだけで済みます。これは本当に素晴らしい機能で、恐らく同価格帯のポータブル・ミキサーでは、同等のシンプルさで実現することはできないでしょう! 地元のリハーサル&レコーディング・スタジオを運営するプロフェッショナル・サウンド・エンジニアの意見を聞いてみたところ、別の使い方も提案してくれました。彼はスタジオでバンドのレコーディングを数多く行っており、アナログ・コンソールにマスキング・テープを貼り、各チャンネル・フェーダーの下に何をコントロールしているかを書き込んでいます。M20dを使えばその必要は無くなり、将来的にリテイクが必要なときも、前回のレコーディング・セッションのセットアップやシーンをロードするだけで済みます。だから彼は時間を大幅に節約できると言うのです。おっと、ちょっと話が逸れてしまったので、ギタリストの視点からのレビューに戻りましょう。

私はギタリストとして、ほとんどのエフェクトはPOD HDかストンプボックスでカバーするので、これまでPAシステムやミキサーではリバーブと3バンドEQのみを使っていました。M20dにはずっと多くのオプションが用意されており、しかも楽しく操作できます! 操作は非常に簡単で (何せギタリストがPAミキサーを操作している状況ですから、これには驚きました)、Setupメニューでインプットのひとつを押し、画面左のTweakボタンを押すだけです。これでシンプルな画面が表示され (下の左側)、その中央がニュートラルな状態、四隅にはBoom、Snap、Scoop、Smackと書かれています。これまで自分でダイレクト・ベースへEQを設定したりトーンをセットアップすることはありませんでしたが、ベーシストが「もっとブンブンした音に」とか「もっとアタックの効いた音に」と叫んだら、素早く調整できること請け合いです。しかも、ベーシストに「そんなの自分でやれば」と叫び返し、彼に自分のいる場所からiPadを使って自分で調整させることすら可能です (詳細は後述)。

サウンド・エンジニアリングのスキルがあれば、Tweak画面の上部にあるDeep Tweakボタンを押すだけで、本物のEQ設定を表示可能 (右下)。Quick Tweakを押せば、簡単なページに戻れます。イージーですよね? 非常にパワフルかつフレキシブルですが、本当にシンプルなんです。

Line 6は先日、オリジナルv1.0から最新のv1.1へのファームウェア・アップデートをリリースしました (編注: 現在はさらに機能を強化した v1.2 が発表されています)。この新しいファームウェアには、追加のレコーディング機能や、既存ワイヤレス・ネットワークへの接続、モニター出力のステレオ・リンクなどの機能向上が含まれています。新しいファームウェア・バージョンで恐らく最も重要なのがレコーディング機能で、バンドやギタリストがメリットを享受できる機能が用意されています。

最大の変更は、複数トラックを同時レコーディングできるだけでなく、トラックへマーカーを追加できる点です。ライブショー全体をレコーディングし、各曲のスタートとエンドをマークしたいときには便利です。また、マルチトラックのバッキング・トラックをインポートして、それをライブ・パフォーマンス中に使用することもできます。別のメディア・プレイヤーとミキサーを用意してライブ・パフォーマンスを行っていたバンドにとっては、セットアップがずっと簡略化され便利です。マーカーを使えば、間違った箇所を後日、改めて演奏するという場合にも役立ちます。

Monitor画面ではステージ・モニターやインイヤ・モニターのセットアップができ、調整しているモニター画像の周りに矢印が点滅する、非常に分かりやすい表示を採用しているので、目的とするモニターを調整していることが確認できます。また、各モニターをメイン・チャンネル・レベルとリンクさせるか、あるいは独立コントロールするかも選択できます。各モニターにどのチャンネルを送るか、それがどのくらいのレベルかの設定も可能。非常にフレキシブルな機能であり、全てのモニターへ同じオーディオを送るシンプルなPAのセットアップもできます。私がこのモニター・ソリューションで気に入っているのは、自分のモニターにはギターと、あとはドラムを少しだけ返して、ベーシストやシンガーは聞かなくても済むということです。もちろんそうしたいのであれば、ですけどね。

私にとってiPadは大好きで、かつ大嫌いなディバイスです。リリース以降、わずかな期間でタブレット市場に革命を起こしましたが、多くの会社が独自の30-pin端子に完全に、あるいは部分的に依存するハードウェアを作るようになってから、予想されたような状況が起こっています。最新世代のiPadは、これまでの30-pin端子でなく、新しいLightning端子を搭載。一部のオーディオ・ディバイス (マルチエフェクト・ペダル、ミキサーなど) にはiPad無しには完全な動作ができないものもあり、そうした高価なオーディオ機材を購入したコンシューマーやオーディオ・プロフェッショナル達は、所有するiPadが壊れないように、あるいはアップグレードしたくならないよう祈っています。Line 6は、M20dではそうした間違いを犯しませんでした! 彼らは賢明であり、おそらくは賢明であるが故に革新的なのです。iPadのStageScape Remoteアプリv1.1とM20dとの接続にはワイヤレス・ネットワーク接続が使用されています。このアプリにより、サウンド・エンジニアやバンド・メンバーはM20dをリモート・コントロールでき、複数のiPadユーザーが同時にM20dのセッティングを独立して変更できます。ドラマーであれば自分のモニター・レベルを変更するし、FOHのサウンド・エンジニアは恐らくギターのレベルを上げて、バンドの他のレベルは下げるでしょう (私にとっては良い話です)。こうした状況は同時に起こることがありますが、お互いに影響を与えずに実行できます。これは本当に素晴らしいですね。本体にタッチスクリーンが内蔵されていますが (そのためiPadには依存しません)、ライブ中にも複数のiPadを使ってフレキシブルにポータブル・コントロールが可能で、しかもiPad端子には依存しません。Line 6のこうしたデザインは本当に素晴らしいと思います。

StageScape M20dからStageSource L3tやL3mスピーカーへ接続することに関しては、このシリーズのPart 3で詳しく見ていきますが、ここではM20dの出力端子を一通りチェックしておきましょう。

これがM20dの出力端子部分です:

L6 Link端子からどんなStageSourceスピーカーにも接続でき、独自のL6 Link接続により、他のStageSrouceスピーカーもデイジーチェーン接続(数珠つなぎ)が可能です。L6 Linkケーブルは110ΩのAES/EBUデジタル・ケーブルであり、Dream Stageの各パートは最長15mのケーブルで自由に接続できます。L6 Linkケーブルはコントロール情報とマルチチャンネルのデジタル・オーディオを伝送するため、デイジーチェーン接続された1組のケーブルで複数のスピーカーへ信号を伝送することが可能です。PAをセットアップする際、大量のケーブルを使う必要がありますし、PAミキサーから各スピーカーやモニターへ、同じ経路で多数の独立したケーブルを使うと混乱した状況になってしまうため、この機能はとても気に入っています。唯一の問題は、15m以上の距離が必要な場合、あるいはドラマーの背後にモニターを置きたい場合でしょう。この機能自体は素晴らしいため、M20dにL6 Link出力が2系統用意されていれば最高で、自由度も増すし、半分のスピーカーを別の出力チャンネルに分けることも可能となります。例えばM20dから最初のスピーカーへ接続されたL6 Linkケーブルに問題が起こった場合、全くオーディオが鳴らない状況になってしまいますが、L6 Link出力チャンネルが2系統あり、スピーカーを半分ずつ接続していれば、その曲は最後まで演奏して、その後で問題を解決することが可能です。「ショー・マスト・ゴー・オン」ですよね。ただしDream Stageで行ったギグで、これまで一度も問題は起こっていません。それでも機材を使っている限り、そうした問題が時には起こる可能性も無いとは言えないでしょう。

モニターとメインには従来通りの接続方法も容易されているので、フルレンジのPA FOHスピーカーやステージ・モニターへダイレクトに、あるいはバランス接続を利用してクラブのパワー・アンプとクロスオーバーへ接続できます。バランス接続は、シグナルをアナログの、変更されない状態を維持しながら干渉を回避する懸命なパッシブ方法を採用しています。オーディオ・シグナルをモニターできるヘッドフォン出力も用意されていますが、モニター出力の1系統 (ステレオにする場合は2系統) をヘッドフォン出力としてアサインし、そこからヘッドフォン・ディストリビューション・システム経由でイヤモニへ送ることも可能です。Performモードでは画面上のボタンを使用して、イヤモニ、あるいはヘッドフォン・モニター出力を他のステージ・モニター出力とは独立してミュート可能で、これは本当にフレキシブルな機能だと思います。また全出力をミュートする“Mute All”、ライン入力 (ベースDI入力など) 以外のボーカル&楽器用マイクをミュートする“Mute Mics”のハードウェア・ボタンも搭載。Mute AllとMute Micは、ブレーク時にフィードバックの危険を回避したり、インスト曲の演奏の際にマイクだけをミュートするには便利な機能です。恐らく、入力の一部をグループにしてミュートできればと考える方もいるでしょう。それも可能です! グループ・フェーダーを使って、Performモードでグループのミュートができ、そのグループに入れる入力は自由に選択できます。私がDream Stageを使ってギグを行う際にはこの機能を使っており、インスト曲では2本のボーカル・マイクをグループにしてミュートしています。ギター・キャビネットのマイクはミュートしたくないですからね。

まとめ:

M20dはミキサー・テクノロジーにおける重要な進化であり、現時点ではM20d同様の価格帯やサイズ、機能性を持つ競合機種は存在しないと思います。スマート機能の多くは本当に良く考えられたものであり、その大半のメリットは即座に理解できました。ギグを行うギタリストとして見ると、Quick Tweak機能は抜群ですし、一般的なマルチバンドEQでは設定をうまく調整できない人がサウンドを調整するには、本当に便利です。

POD HDユーザーにL6 Link入力が提供されていれば、さらにフレキシビリティが向上しますし、私がDream Stageでギグを行う際にも活用するでしょう。それに、WiFiアダプターは製品に同梱されるべきですし、低容量のSDカードが付属されていればバックアップにも便利ですが、もちろんそれが購入しない理由にはなりません。前述のようにL6 Linkの2系統目のバスがあれば、大きなステージでもケーブル接続にさらなるオプションが追加されますし、1本のケーブルの問題が全スピーカーに影響を与える状況も回避できます。iPadの接続性やセットアップとシーンの保存&レストアは、どれも素晴らしい機能であり、中規模のバンドから大規模な会場まで、ライブ・サウンドの世界では本当に時間を節約できます。

Rawbiによるレーティング: 8/10 – いますぐトライすべきです!

本ポストは「Rowbinet – Rowbi’s Guitar & Recording Blog」に掲載された原稿を、著者の許諾を受けて転載したものです。

http://rowbinet.co.uk/2013/03/01/guitarists-dreams-can-come-true-part-1-line-6-stagescape-m20d-review/

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