Variax Talk

阿部 学のVariax Talk #3: オルタネート・チューニング機能

2012.10.31

この“Variax Talk”は様々なアーティストのサポートやソロ活動を行い、Variaxギターも知り尽くしたプロギタリスト、阿部学さんによる連載コラムです。現在は James Tyler Variaxギターをライブやレコーディングで活用し、またLine 6のデモでも活躍する阿部さんが、現場ならではのノウハウなどを含めてVariaxを語り尽くします。

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TuningKnob今回はJTVの中でも特筆すべき機能、オルタネート・チューニング機能について説明したいと思います。名称だけ聞くとよく分からないかもしれませんが、ギターそのもののチューニングは変えずに、出音のチューニングだけを変えられる機能です。

専用のノブが (JTV-69の場合はネックエンド部分の横に) 用意されており、これを回していくとチューニングが変わる訳ですが、11種類のチューニングがプリセットされています。半音下げ、ドロップD、1音下げ、様々なオープン・チューニング……等。ダイヤル1つでチューニングが変えられるなんて信じられないですよね? デモ演奏の際は音を出したままの状態でノブを回すと、見ている方々は皆凄く驚きます。

この手の機能というのは「ニュアンスが損なわれるんじゃないか」とか「反応に遅れがあるんじゃないか」などと思う方が多いと思いますし、当初は私もそう思ってましたが、全くそんなことはありません。クリアトーンでもディストーションサウンドでも反応の遅れは感じませんし、ニュアンスが損なわれることも皆無です。

ここまで実用的だと、ライブ・ステージ等でも重宝します。私がライブ・サポートの現場で実際に経験したことですが、そのアーティストにはレギュラー(スタンダード)チューニング、半音下げチューニング、ドロップDチューニングの曲があって、以前はギターを持ち替えるか、MCを挟んでチューニングをし直すことで対応していました。それがJTVを使うようになってからは不要になり、セットリストに制限が無くなりました。ライブでの曲の繋ぎは、見せる上で凄く重要ですからね。

今年の春に行った「JTV体感セミナー」ツアーでは、オルタネート・チューニング機能の説明でドロップDb (1~5弦を半音下げ、6弦を1音半下げ) を使っており、そのオケを制作する際に、まずはイメージ作りのためオルタネート・チューニング機能を使ってバッキングトラックを録りました。本番の録音ではチューニングし直して録音しようかと考えていたのですが、エンジニアの方が「聴いてても全然違和感ないですねぇ」と一言。それで、オルタネート・チューニング機能を使ったトラックをそのまま採用しました。エンジニアのようにサウンドに敏感な人ですら違和感なく感じるんですから凄いですよね。

このオルタネート・チューニング機能は、弦のテンションが変わらないのでプレイアビリティが損なわれないのも特徴です。ダウン・チューニングをした場合など、弦のテンションが変わるので弾きづらくなってしまいますからね。セミナーの際、「実際のポジションと違う音が出ること対して違和感はありませんか?」という質問がありましたが、慣れれば大丈夫ですし、実際にペグを回してチューニングを変えても同じことですからね。

と、オルタネート・チューニング機能について書いてきましたが、実は実はこれだけではないんです。次回はさらに「オルタネート・チューニングの利便性と自由度」を説明したいと思います。もちろん機会がありましたら、ぜひ店頭でも試してみてください。

著者プロフィール: 阿部 学 (あべ まなぶ)
13歳でギターを始め、バンド活動。自己のバンド活動後、7弦ギタリストISAOやベーシストIkuoらと六本木ピットインでのセッション活動や、Line 6製品等のプロダクト・スペシャリストを経て、女性ユニットZweiのサポート・ギタリスト、世界的規模のテーマパークでのショー出演、『バトルギア4』や『グランツーリスモ TV』のゲーム・ミュージックにも参加。

ソロ・アルバム 『Memories』もリリースしている。現在は元flow-warの及崎森平らと“NumberClub”、メロディック・パンク・バンド“叫人Factory”、若手超絶ドラマー大菊勉とのセッション・ユニット“Power of Duo”にて活動するほか、様々なライブやレコーディング、ギター・レッスンに精力的に活動中。

blog.livedoor.jp/manabu_eternity/

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『memories』阿部 学

*各製品名は各社が所有する商標であり、Line 6との関連や協力関係はありません。他社の商標は、Line 6がサウンド・モデルの開発において研究したトーンとサウンドを識別する目的でのみ使用されています。

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