TIPS/テクニック

ミュージシャンの統合ケア: 手や腕、肩への傷害

ロックンロール・ドクター、Dr. リッキー・フィッシュマンはカリフォルニア州サンフランシスコをベースとするカイロプラクター兼ベテラン・ベース・プレイヤーであり、ミュージシャンが直面する問題の診察と治療を行なってきました。“ミュージシャンズ・カイロプラクター”として、機材の運搬による背中の痛みや、長時間の演奏による反復性ストレス障害などを数多く診断。彼自身とその哲学、ミュージシャンズ・カイロプラクティック・プロジェクトについては Dr. フィッシュマンのWebサイト をご覧ください。また、前回のブログ・ポスト「ロックンロールの人間工学: スタジオ」も是非お読みください。

ミュージシャンの統合ケア: 手や腕、肩への傷害

ロッカーはハードに演奏します。例えばピート・タウンゼントのウィンドミル奏法によるパワーコードや、ジェリー・リー・ルイスの立ったままピアノを叩くように弾きながら歌うスタイルがそうです。我々はみな、そうしたハードにドライブするエネルギーがもたらすサウンドとフィーリングが大好きですが、それがプレイヤーへ物理的に与える影響は計り知れません。肩や腕、手に繰り返し与えられたストレスを原因とする障害は、痛みや痺れからの回復を阻害してしまいます。

重要なのは避けることです。傷害から自分を守るにはカーディオエクササイズ

ストレッチ、筋肉補強が効果的です。

ロッカーとランナーの共通点はそれほど無いにしても、カーディオによる健康面でのメリットは決して軽視できません。ランニングやウォーキング、バイキングやスイミングは、いずれも血液の循環を強化し、酸素の供給やメタボリックシンドロームの解消、身体の障害部分への治癒物質の供給に役立ちます。

ワークアウトが奇妙な陶酔感を生み出すことに驚かされるかもしれませんが

ソロ途中のハイな感じとは異なります。

次は上背部と腕部筋肉のストレッチですが、これは演奏の前と後に行うのが理想的です。セルフマッサージにより、ストレッチの養生効果が促進されます。もし可能であれば、ローディのうち一人はマッサージ・セラピストの認定を持っている人にしましょう!

最後に、筋肉強化です。パワーコードが腕立て伏せの代用になると考えるかもしれませんが、心と身体のバランスが崩れてしまうと、物理的な限界を簡単に超えてしまい、それが傷害を引き起こしてしまうのです。楽屋でダンベルなどを使ったフリーウェイトや腹筋運動を軽く行ってからステージに臨みましょう。

それでも痛みに襲われた場合の対処法や、その問題はどこに行けば正しく理解され、治療を行ってくれるでしょう? そうした傷害は筋肉や関節を使い過ぎ、限界を超えたことで腱傷害や炎症、痛みを引き起こしたものなので、筋骨格系の問題を専門とする開業医を探しましょう。

カイロプラクターは主にこうしたタイプの傷害に対応しており、関節徒手整復やリハビリエクササイズ、冷却や電気刺激、超音波などの受動的治療を行います。また、鍼治療も優れた方法です。伝統医学に基づいて鍼や漢方薬を用い、痛みを鎮めて正しい機能へ戻す手助けをします。受診の際は、鍼師が筋骨格系傷害を理解していることを確認してください。

上記の方法で問題が解決しない場合、薬を使う必要があるかもしれません。非ステロイド性消炎鎮痛剤 (イブプロフェン、ナプロキセン)、筋肉弛緩薬や鎮痛薬などの処方に加えて、理学療法で処方される薬が非常に役立つ場合もあります。

ここまで紹介した方法が機能しない場合は、リハビリ専門の理学療法医にも当たってみましょう。

最後の手段は、外科的手術です。手の痺れに対しては、手根管減圧術が唯一の有効な方法であることがあります。

外科医がミュージシャン特有のニーズと特異性を理解していることを確認しましょう。

音楽を演奏することで、とてもハイになりますが、同様にハードワークでもあることも理解しておきましょう。そして、ハードワークは身体へ負荷をかけるため、痛みや機能不全を引き起こします。しかし、そうした傷害の多くは回避できます。ブルース・スプリングスティーンはEストリートバンドと自分自身にタフなツアーを課しましたが、長年に渡って問題なく演奏できています。

57年製Teleと同様に自分の身体もケアし、音楽の世界を健康にエンジョイしてください。

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