TIPS/テクニック

POD HDマルチエフェクト・プロセッサーのエフェクト解説: Dynamic Delay

By Line6Miller

POD HD マルチエフェクト・プロセッサー のDynamic Delayエフェクトは、私個人は、このディバイス内で最もクリーンなサウンドのデジタル・ディレイ・モデルだと思っています。それも当然です。このモデルは、80年代後半から90年代、また現在も音楽の世界における業界標準である、著名なT.C. Electronic® 2290 Dynamic Digital Delayにインスパイア*されたものです。

T.C. Electronic® の歴史

T.C. Electronic® は1976年に誕生しました。Kim & John Rishøjs氏 により生み出されたこのデンマークの会社は、当初はギター用のエフェクト・ペダルを開発していましたが、やがてラックマウント・エフェクト製品の世界へ進出します。その後、様々なハーモニー・エフェクトとボーカル・プロセッサーのメーカーであるTC-Helicon® など小規模な楽器会社を幾つか買収し、2002年にT.C. Group® となりました。

新しいパラメーター

Dynamic Delayエフェクト・モデルには、POD HD マルチエフェクト・プロセッサーのその他の伝統的なアナログ&デジタル・エフェクトと同じ、調整可能なパラメーターが幾つも用意されています。MixやFeedback、Timeなどがそれですが、それ以外に、他の伝統的なディレイ・エフェクト・モデルには無い、新しいパラメーターも2種類あります。

Ducking: エコー・エフェクトは、演奏によっては込み入った、はっきりしないサウンドになってしまうことがあります。Duckingパラメーターは、リピートを次に入力されるギター信号よりも低いレベルに抑えて (頭を引っ込める = “ダッキング”と呼ばれます)、その信号が通過した後で元に戻します。これはクールですね!

Threshold: このThresholdパラメーターは、Duckingパラメーターと相互作用します。このパラメーターで、入力信号が特定の強さ以下の場合に、ダッキングするよう設定します。入力信号が、この強さに到達しない場合は、ダッキングは起こりません。

ここまで、私のPOD HD マルチエフェクト・プロセッサーのエフェクト関連ブログをフォローしてくださっている方は、常にトーンを Custom Toneへポストしてきたこともご存知でしょう。それは今回も同様ですが、新たにサウンド・クリップも追加することにしました。多くのリクエストを頂きましたので、どうかチェックしてみてください!

DynaSlap

Dynamic Delayエフェクト・モデルは、素晴らしいスラップバック・ディレイ・トーンに設定できます。このスラップバック・トーンは、>Analog EchoやTube EchoとTape Echoモデルを使って作ったもの同様の優れたサウンドになっていると思いますここで使っているBlackface Dbl Nrmアンプ・モデルは私個人のお気に入りでもあり、スラップバック・トーンを生き生きと聞かせることができます。

DynaCrunch

Divide 9/15アンプ・モデルは、様々なパンクロック・アルバムで耳にするような素晴らしいクランチ・トーンを生み出すことができます。うまくまとまるよう、そこへわずかにDynamic Delayを加えてみました。

DynaRecto

今度は、ハイゲインなサウンドを好む人に向け、ちょっとヘビーなサウンドを紹介しましょう。今回はTreadplateアンプ・モデルを使っています。NOFXやレス・ザン・ジェイクなど、よりモダンなパンクロック・アルバムで聞けるようなサウンドですし、メタルにも合いそうです。Dynamic Delayをわずかに加えることで、ディレイ・サウンドというよりもリバーブっぽいクオリティにしています。

DynaTrails

私は、POD HDマルチエフェクト・プロセッサーのSuper Oモデルも大好きです。このブログをお読みの方は、既にご存知でしょう。このアンプはドライブすると、とても良い感じにブレークアップしますし、個人的にはとてもセッティングしやすいモデルだと思っています。このトーンはDynamic Delayエフェクト・モデルのDuckingとThresholdパラメーターに焦点をあてています。アタックを効かせて演奏すると、ディレイがわずかにダッキングするのが分かります。楽曲のソフトなイントロで、ドカーンと爆発する直前に使ったりすると最高のトーンです!

次回の私のブログでは、80年代バンド特有のビッグなハイゲイントーンを作るには最適なStereo Delayモデルを紹介します。お楽しみに!

*各製品名は各社が所有する商標であり、Line 6との関連や協力関係はありません。他社の商標は、Line 6がサウンド・モデルの開発において研究したトーンとサウンドを識別する目的でのみ使用されています。

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