POD HD

POD HDマルチエフェクト・プロセッサーのエフェクト解説: Echo Platter

By Line6Miller

POD HD マルチエフェクト・プロセッサー のEcho Platterディレイ・モデルは、実に特別なエフェクトであり、これはいつの時代にも多くの人が探し求め、崇拝するディレイであるBinson Echorecをベースとしたものです。

Binsonの歴史

最も初期のEchorecユニットは、1950年代の終わりに発表されました。イタリアのミラノで生まれたBinsonのディレイ・ディバイスは、秀逸なサウンド・クオリティと、当時のテープ・ディレイ・エフェクトと比較すると遥かに頑丈なデザインを売り物にしていました。他のテープ・ディレイと決定的に違ったのは、フラットな金属製テープを搭載した鋼/合金のディスク・ドラムを搭載していた点です。このドラムは、40年以上もの寿命があるとされていました! ドラム・ヘッド付近には録音ヘッドと幾つかの再生ヘッドがあり、最大350-375 msecのディレイ・タイムを提供したのです。

ユーザーは?

Binsonのディバイスを使用した最も有名なギタリストは、恐らくピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモアとシド・バレットでしょう。このエフェクトは、ピンク・フロイドの『ザ・ウォール』のあちこちで使われています。中でも有名なのが「ラン・ライク・ヘル」です。

実物は、最近では非常に高額で取引されています。でも幸運なことに、このエフェクトはPOD HD マルチエフェクト・プロセッサーにも搭載されています!

今回も、POD HD マルチエフェクト・プロセッサーでEcho Platterモデルがどのようにサウンドを生み出すかを、幾つかのトーンを作って紹介します。なお、私の作成した全てのトーンは、ここに用意されています。

» RunRunRun

これは、ピンク・フロイドの「ラン・ライク・ヘル」内で聞けるデヴィッド・ギルモアのトーンをベースに作ったトーンです。Hiway 100アンプ・モデルを使い、イントロにあるような、濃密な泣きのトーンを作るためAnalog Chorusを追加しています。このトーンは、フロント・ピックアップで演奏するのがベストです。

» NumbSolo

ピンク・フロイドの「コンフォタブリー・ナム」のソロにインスパイアされたトーンです。同じくHiway 100モデルを使い、ドライブを少し上げました。これも、フロント・ピックアップで演奏するのがベストのようです。Hallリバーブにより、好ましい空気感が追加されています。このEcho Platterディレイ・モデルの特徴は、他のテープ・ディレイとは異なり、ディレイにリバーブっぽいエフェクトが追加されないところにあります。なお、Echorecの後期モデルにはリバーブのオプションが用意されています。

» NakedDelay

とてもシンプルです。スウィートなサウンドのBlackface Dbl Nrmアンプ・モデルを、Echo Platterへ通しただけ。スラップバック・ディレイとしても使えます。タイムを少し戻して100-150 msecにするだけでOKです。

» HedOnPlatter

これもオリジナルのトーンです。POD HD マルチエフェクト・プロセッサー のSuper Oアンプ・モデルは良い感じにブレークアップするので、その後ろへEcho Platterをかけるのが、とても自然なことに感じられました。

信じられないことに、まだPOD HD マルチエフェクト・プロセッサー に搭載されているディレイ・エフェクトの半分を紹介したに過ぎません! 次回は、T.C. Electronic® 2290 Dynamic Digital Delayにインスパイア*されたDynamic Delayモデルを紹介しましょう。

*各製品名は各社が所有する商標であり、Line 6との関連や協力関係はありません。他社の商標は、Line 6がサウンド・モデルの開発において研究したトーンとサウンドを識別する目的でのみ使用されています。

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